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DXとデジタルマーケティングの違いとは?中堅・中小企業のはじめ方についても

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「DXとデジタルマーケティング、どちらに投資すべきか」

限られた予算と人材の中で、この判断に悩む中堅・中小企業の経営者や担当者は少なくありません。どちらも「デジタル」という言葉が含まれ、似たような文脈で語られるため、違いがわかりにくいのも無理はないでしょう。

しかし、両者は目的も範囲も異なる概念です。この違いを理解しないまま進めると、投資対効果が見えない施策に予算を費やしたり、現場が疲弊するだけで成果につながらなかったりする恐れがあります。

本記事では、DXとデジタルマーケティングの違いを明確にした上で、中堅・中小企業がどのように判断し、どこから着手すべきかを解説します。

DXとデジタルマーケティング、それぞれの定義

まず、両者の定義を簡潔に押さえておきましょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション) とは、データとデジタル技術を活用し、顧客や社会のニーズを基に、製品・サービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務や組織、企業文化を変革し、競争上の優位性を確立することです。単なるIT導入やデジタルツールの導入ではなく、顧客目線で新たな価値を創出していくことを指します。

対してデジタルマーケティング とは、Webサイト、SNS、メール、Web広告などのデジタルチャネルを活用したマーケティング活動の総称です。顧客データを基に集客・販促・顧客関係強化を行います。

DXとデジタルマーケティングの3つの違い

両者の違いを3つの観点から整理します。

対象範囲の違い

デジタルマーケティングの対象は、マーケティング領域に限定されます。WebサイトやSNS運用、広告出稿といった顧客接点の施策が中心です。

DXの対象は企業活動全体です。製造、物流、人事、経理、営業など、すべての業務領域における変革を含みます。デジタルマーケティングは、DXを構成する一部といえます。

目的の違い

デジタルマーケティングの目的は、デジタルチャネルを通じた集客と売上への貢献です。リード獲得数やコンバージョン率といった指標で効果を測定します。

DXの目的は、企業の競争力そのものを高めることです。業務効率化にとどまらず、新たな収益源の創出やビジネスモデルの転換までを視野に入れます。

投資規模と時間軸の違い

デジタルマーケティングは、比較的小さな投資から始められます。Web広告なら月数万円から試せますし、効果測定も数週間〜数ヶ月単位で可能です。

DXは中長期的な取り組みです。基幹システムの刷新や組織改革を伴うため、投資額も大きく、成果が出るまでに数年かかることも珍しくありません。実際、PwC Japanの2024年調査では、DXで十分な成果が出ている企業の約70%が取り組み期間5年超となっています。

観点

デジタルマーケティング

DX

対象範囲

マーケティング領域

企業活動全体

目的

集客・売上貢献

競争優位性の確立

投資規模

小〜中

中〜大

時間軸

短期〜中期

中期〜長期

出典:2024年版「中小企業白書」 第7節 DX(デジタル・トランスフォーメーション) | 中小企業庁
出典:DXへの取り組み、中小企業は4割にとどまる | 東京商工リサーチ

中堅・中小企業はどこから始めるべきか

大企業であれば、DX専任チームを設置し、数億円規模の投資で全社変革を進めることも可能でしょう。しかし、中堅・中小企業にとっては現実的ではありません。

では、限られたリソースの中でどう判断すればよいのでしょうか。

「身近なところから」スモールスタートする

経済産業省の「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き」では、「まずは身近なところから」「スモールスタート」で始めることを推奨しています。具体的には、身近な業務のデジタル化や、既存データ・身近なデータの収集・活用に着手し、成功体験を得ながらノウハウを蓄積していくアプローチです。

どこから始めるかは、企業の業種や課題によって異なります。B2C企業であればデジタルマーケティングが有効な出発点となりますし、製造業であれば生産管理のデジタル化、サービス業であれば予約・顧客管理のクラウド化など、自社の課題に合わせた着手点を選ぶことが重要です。

出典:中堅・中小企業等向け「デジタルガバナンス・コード」実践の手引き(経済産業省)

出典:「DX支援ガイダンス:デジタル化から始める中堅・中小企業等の伴走支援アプローチ」を策定しました(経済産業省)

デジタルマーケティングから着手する場合のメリット

特にB2C企業や、集客・販促に課題を抱える企業にとっては、デジタルマーケティングから始めることが現実的な選択肢となります。その理由は3つあります。

理由1:小さく始めて効果を検証できる

デジタルマーケティングは、月数万円〜数十万円の予算から始められます。Web広告やSEO施策であれば、数ヶ月で効果が見え始めるため、投資対効果を検証しながら進められます。全社を巻き込む前に「デジタル施策で成果が出る」という実績を作れることは、社内の理解を得る上でも重要です。

理由2:売上に直結する成果を出しやすい

中堅・中小企業にとって、まず必要なのは売上の確保です。デジタルマーケティングは集客や販促に直結するため、成果が売上という形で見えやすい特徴があります。「デジタル投資で売上が伸びた」という成功体験が、次の投資判断への説得材料になります。

理由3:顧客データが全社DXの基盤になる

デジタルマーケティングを通じて蓄積される顧客データは、将来の全社DXにおける貴重な資産です。どんな顧客がどのような経路で購入に至るのか。このデータがあれば、営業プロセスの改善や新サービス開発といった次のステップに活かせます。

全社DXへのステップアップ

デジタル化で成果を出した後、全社DXへと展開していく道筋も描いておきましょう。経済産業省のガイドラインでも、段階的なアプローチが推奨されています。

参考ページ:DXは3段階のフェーズがある! 各ステップの戦略と事例を解説 | Digital Library
出典:中堅・中小企業等向け「デジタルガバナンス・コード」実践の手引き(経済産業省)

ステップ1:身近な業務のデジタル化

自社の課題に合わせて、マーケティング、営業、バックオフィスなど身近な業務からデジタル化を開始。データの蓄積を始める。

ステップ2:部門間連携のデジタル化

CRMやSFAを導入し、マーケティングで獲得したリードを営業につなぐ仕組みを構築。部門間のデータ連携を進める。

ステップ3:バックオフィス・業務プロセスのデジタル化

経理、人事、在庫管理などの業務をデジタル化。全社的なデータ基盤を整備する。

ステップ4:ビジネスモデルの変革

蓄積したデータを活用し、新サービス開発や事業モデルの転換に取り組む。

まとめ

DXとデジタルマーケティングは、対象範囲、目的、投資規模のいずれにおいても異なる概念です。

中堅・中小企業が限られたリソースの中で成果を出すには、まず「身近なところから」スモールスタートし、成功体験とデータを蓄積しながら全社DXへとステップアップしていく道筋を描きましょう。着手点は企業の業種や課題によって異なりますが、B2C企業や集客に課題を抱える企業であれば、デジタルマーケティングが有効な出発点となります。

とはいえ「何から始めればいいかわからない」「社内にデジタルに詳しい人材がいない」といった課題を抱える企業も多いのではないでしょうか。YOHACKでは、経営視点とIT視点の両面から、中堅・中小企業のデジタル戦略立案から実行までを伴走型で支援しています。デジタルマーケティングの第一歩から全社DXへの展開まで、自社の状況に合わせた進め方をご提案しますので、お気軽にご相談ください。

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